ふと咲く温もりの記憶~さりげない優しさが導く未来〜
万理華が家を出たのは、19歳の時だった。
通信制高校に通っていた万理華だったが、学校生活に嫌気が差してしまっていた。
行くあてがない彼女は、その日、その日に知り合った男たちの家に泊まり歩く生活をしていた。しかし、そんな暮らしも長くは続かず、彼女の心に不安が募っていた。
ある日、泊まっていた男に
『万理華ちゃん、風俗で働けばいいのに〜』
と言われ、その言葉が耳に残った。
風俗や夜職には全く縁のなかった万理華だったが、いつまでもこの生活を続けるわけにはいかないと感じていた。
そうした状況の中、彼女は少しだけ風俗の仕事について調べてみることにした。
検索していく中で、ある求人広告が目に留まった。その求人文句には、
「舐めない、脱がない、触らせない」
と書かれていた。万理華は
『ここなら大丈夫かも!』
と期待を抱き、勇気を出してメッセージを送ることにした。
『○○求人を見てご連絡したんですけど、面接お願い出来ますか?』
不安と緊張が入り混じった中で、送信したメッセージにすぐ返事が来た。
『大丈夫ですよ〜!いつにしますか?』
優しい口調の返信に、万理華は少し安心して
『明日の14時頃行けますか?』
と答えると、
『大丈夫ですよ~』
との返事が返ってきた。その言葉に、彼女の心の中の緊張の糸が少しだけ緩んだ。
—
面接当日、前夜泊まっていた男の家を後にした万理華は、指定された駅へと向かった。
駅に到着し、万理華は緊張しながらメッセージを送った。
『駅に着きました。どこにいらっしゃいますか?』
『じゃあ、お店その近くだから案内するね!』
との返信があり、電話で指示された通りに裏路地や小道を進んでいくと、雑居ビルが現れた。
『うち、そこの1階やから』
と言われて見上げた看板には、
「○○レディースクリニック」
と書かれていた。
『風俗店やのに、地味やな…』
と思いながら、万理華は恐る恐る中に入った。万理華が店内に入り、
『先程、道案内頂き、ありがとうございました。本日は、よろしくお願い致します。』
と挨拶をすると、現れたのは、50代くらいの男性で、桜井だった。彼は優しげな笑顔を浮かべ、
『よろしく~、じゃあここに座って待って!』
と案内してくれた。
店内は思ったよりも落ち着いた雰囲気で、ナース服やローションなどの小道具が整然と並べられていた。
その空間に少し緊張が和らいだのを感じながら、万理華は桜井に促されて椅子に腰を下ろした。
『お待たせしました。』
と桜井が席に着き、面接が始まった。
桜井が尋ねる質問の内容は、風俗店の面接だけあって、
『フェラできる?』
『ゴックンはどう?』
など、際どい質問もあり、万理華は戸惑いを感じたが、
『もう、ここ落ちたら明日からどうしよう…』
という焦りに背中を押され、必死に答えていった。
—
桜井は、彼女の真剣な姿を見て少し考えた末、
『じゃあ、体験入店からってことで!』
と言ってくれた。その言葉に、万理華は肩の力が抜け、安堵の表情を浮かべた。
『じゃあ、今日は一日研修ってことで、頑張ってね』
と桜井がにこやかに言う。
万理華は、少し緊張しながらも
『はい、よろしくお願いします』
と答えた。
—
桜井が
『じゃあ、ここで少し待っててくれるかな?忙しいから、空いた時間に研修するね!』
と言い、万理華を待合室へ案内した。
待合室は、仕切りでいくつかの個室に分かれていて、他の女の子たちの姿は見えなかった。しかし、聞こえてくる桜井の声から、彼が他の従業員に対応していることだけは感じ取れた。
どうやら店の事務や接客、経営まで、桜井が一人でこなしているらしい。万理華は思わず、
『凄いな…』
と心の中で感心してしまった。
待っている間も、店内は忙しい様子で、時間が過ぎていく。そのうち、手が空いたタイミングで桜井が顔を出し、
『大丈夫?お腹すいてないか?』
と心配そうに声をかけてくれた。
家出中の万理華にとって、食べ物は貴重だったが、彼女は
『大丈夫です!』
と断った。それでも桜井は気を使って
『いや、俺が買いすぎちゃったから、これ余ってるんだよ』
と言って、ご飯を差し出してくれた。
寒い冬の夜に、そのご飯と桜井の温かさが、万理華の心にじんわりとしみ込んでいくのを感じた。彼女にとって、誰かからこんな風に気遣われるのは久しぶりのことだった。
—
夜も深まり、ようやく店が落ち着いた頃、桜井が
『お待たせ。じゃあ、そろそろ行こうか』
と声をかけてくれた。
外は既に暗く、桜井とともにホテルへ向かう道すがら、彼は仕事の流れを説明してくれた。
『まず、お客さんは待ち合わせ場所にいるから、声をかけて一緒にホテルに行くんだ』
と桜井は言う。
ホテルに到着すると、桜井はフロントでのチェックイン方法についても教えてくれた。
『うちのカードをフロントに預けて、部屋番号の鍵を受け取るんだ。鍵をもらったら、お客さんと一緒に部屋に入るって感じかな~』
と説明する桜井の姿に、万理華は
『覚えなくちゃ!』
と必死に耳を傾けた。
部屋に入ると、さらに細かな手順が続いた。桜井は椅子に座って、
『部屋に入ったら料金説明をして、お金をもらう。次にお風呂を勧めて、お客さんが入ってる間に着替えや道具の準備をするんだよ』
と指示した。
少し戸惑いながらも、万理華はひたむきに覚えていこうと努めた。彼女にとって全てが未知の体験であり、心臓がドキドキしているのが自分でもわかった。
—
桜井はその後、施術についても実践を交えて教えてくれた。
『このオイルを使って、まずは肩や手、次にお尻や太もも、それから最後に鼠径部って流れでやるんだよ』
と、桜井の指示通りに手を動かしていく中で、万理華は
『マッサージ技術が大事なのかな?』
と心の中で思っていた。
だが、桜井はその万理華の様子を見て、
『いや、風俗はね、ドキドキが大事なんだよ。技術ももちろんだけど、どれだけお客さんに近づけるかが重要なんだ。それと、うちの店にはルールもあるから、その塩梅が一番難しいんだけどな』
と軽く肩を叩いて教えてくれた。
彼の言葉を意識しながら、万理華は一生懸命に施術を続けた。すると、突然、桜井が
『よし、大体そんな感じでいいよ〜。まあ、頑張れよ』
と言って、思いもよらず彼女をベッドに押し倒した。
『え、な、なにをするんですか……』
と万理華は震えながら言い、驚いた様子だったが、彼の視線の冷静さに、彼がただ仕事として指導をしているだけなのだと思い、研修として仕方なく桜井に体をゆだねた。
そして、桜井から突然キスをされた。
『んっ…』
大人びた舌の入れ方に思わず万理華は、声が出てしまう。万理華の力が段々と抜けていくと、桜井は万理華の胸を触り始めた。
『ん……あっ……』
と万理華は声を漏らすと、続けて
『あ、あの…あんまり経験無いので…』
『え?そうなの?こんなに敏感で?』
『はい……』
と万理華が答えると桜井は万理華の乳首を舐めたり吸ったりした。
『んぁっ…だ、ダメ……です……』
と万理華は声を抑えた。
『可愛いね!』
と桜井は言いながら、万理華の陰部を触り始めた。
『ん……んん……』
と万理華は声を我慢していると、桜井が万理華の膣に指を入れてきた。万理華は
『んあぁぁ!』
と声が更に大きくなった。
そして、桜井は万理華の膣の中で指を上下に動かした。
『ああっ……あぁん……んん……』
と声を必死に抑える万理華を見て、桜井が万理華の膣内で指を動かす速度を速めると、万理華はビクビクとしてイッてしまった。
『はぁ……はぁ……はぁ……』
と息を切らす万理華に、桜井はズボンを降ろし、自分のモノを出すと
『じゃあ、最後はこっちでしよっか!』
と言い、桜井は万理華の股を広げ、万理華の膣に自分のモノを入れ始めた。
『んんっ!』
と桜井のモノが入る衝撃で、万理華の声が出ると、桜井が腰を動かし始めた。
『万理華ちゃんのマンコ、気持ちいい!』
と桜井が言うと、さらに激しく突き始めた。万理華の膣内は更に愛液が出てきて、グチョグチョと音がし始めた。
『いやっ……んん……んあぁぁ!』
と万理華の声が大きくなると、桜井が
『もぅ出る!!出すぞっ!』
と言い桜井が万理華のお腹の上に精子を出した。その途端、万理華は力が抜けてしまった。
『はぁ……はぁ……』
と万理華が息を整えていると、桜井は
『万理華ちゃん、お疲れ様!
今日はこれでおしまいだから、
明日からよろしくね!』
と言い、万理華のお腹の上に出した精子と、万理華のマンコから垂れた愛液をティッシュで拭った。
そして、桜井は淡々と服を着替えた。
万理華は初めての感覚に戸惑いながらも、自分も服を着替えた。
—
研修を終え、ラブホテルを出た万理華に、桜井が
『今日はよかったら、ここに泊まって。』
と近くのビジネスホテルを指さした。
家出中の万理華に、桜井がその日の宿を探してくれていたのだと気づき、彼女は思わず
『ありがとうございます』
と小さな声でお礼を伝えた。
桜井は
『いいって。寒いし、ちゃんとあったかくして寝ろよ』
と軽く微笑む。
その優しさに触れるたび、万理華の心は静かに惹かれていった。桜井にとっては何気ない言葉だったのかもしれないが、万理華にとっては、こんなにも人の温もりが心に沁みるものなのかと感じた瞬間だった。
それから毎晩、仕事が終わると桜井は決まって万理華をホテルまで送り届けてくれた。その道すがら、二人で交わす他愛ない会話が、家出中で不安に揺れる万理華にとっては、心の支えになっていった。
—
数日が経ち、万理華も少しずつ仕事に慣れてきた、ある晩。
いつものように仕事を終えた万理華に、桜井が
『お疲れさん。今日はよく頑張ったな』
と声をかけ、
『ちょっと飯でも行こうか?』
と誘ってくれた。
居酒屋の席で、桜井は
『なんでもいいから、好きな物頼めよ』
と微笑んだ。
その優しい表情に、万理華は思わず
『ありがとうございます!』
と自然に言葉が出て、桜井の顔をじっと見つめてしまった。
桜井にとって、万理華はただの従業員かもしれない。もしかしたら、
「都合のいい存在」
としか、見ていないのかもしれないと自分に言い聞かせても、彼の曖昧で気まぐれな優しさが万理華の心を掴んで離さなかった。
—
やがて、家出をしてから約1か月が経った頃、桜井が万理華に
『そろそろ家に帰ったらどうだ?』
と提案してきた。
その言葉に、万理華の心は揺れた。
家に帰るのが嫌で飛び出した自分を、家族がどう思っているかと考えると怖かった。
しかし、このまま風俗を続けていても、
「将来の自分に何が残るのだろう」
そんな疑問が頭をよぎった。
数日悩んだ末、万理華はついに実家へ戻る決心をした。桜井と過ごしたこの1か月が、彼女にとって少しずつ変化をもたらしていたのかもしれない。
—
実家に帰る当日、桜井はバス停まで万理華を見送りに来てくれた。
『親御さんと上手くいくといいね!』
とにこやかに声をかけてくれた桜井に、万理華は目に涙を浮かべながら
『はい……』
と答えた。
その優しさが彼女の心に深く染みわたり、一歩を踏み出す勇気を与えてくれた。
彼に見送られ、バスの窓から桜井の姿が見えなくなるまで、万理華はじっとその背中を見つめ続けた。そして、彼の温もりを胸に抱きしめるように、そっと目を閉じた。
—
それから5年の月日が流れた。
今や万理華は新しい道を歩んでいたが、桜井のことを忘れることはなかった。
ふとした時に彼の優しい微笑みが思い出され、心のどこかで感謝の念が湧き上がる。
あの頃の自分にとって、桜井の存在は確かに
「都合のいい関係」
だったのかもしれない。
しかし、彼のさりげない優しさや励ましが、迷い続けた自分の背中を押してくれたことに違いはなかった。
(了)
レビューを書く