初体験のおもちゃ
高校2年生の男子というのは、一日のうち23時間59分くらいエロいことを考えて勃起しているものだと思う。私もそんな普通の男子高校生であった。彼女はできたことはあったがまだセックスの経験は無かった。毎日1〜2回抜くことが日課となっていた。
25年前は、携帯電話をもつことが一般的になってきた時代で、高校生の9割以上が携帯電話を持つようになっていた。カラー携帯が脚光を浴びる。そんな時代だった。今みたいな進んだマッチングアプリなどはなかった。しかしこの携帯電話は一日中ギンギンの高校生にとっては無限の出会いを提供する最強ツールであった。
では、どうやって出会っていたのか。まずは090から始まる番号に片っ端から電話をかける。
私「もしもし、○○ですが。」
と偽名を名乗り
相手「はい、○○商事です。」
相手「はい、山田です。」
男や企業、明らかなおばさん以上の声だったら「間違えました」といって切る。かけたときに若い女性の声であったらリーチである。
私「あ、間違えました。でもとても素敵な声ですね、少し今しゃべりませんか?」
といってナンパがスタートするのである。今思えばとてつもなく迷惑な行為であるが、高校生にとってまだ見ぬ異性との出会いのためには何だってしたのであった。
そんなことをしていてとうとう自分の1つ上、18歳高校3年生の女性Mを捕まえることに成功した。メールアドレスも交換し、お互いの住所を伝え合ってプリクラを送りあった。当時はまだ写メがなかった。美人でもかわいくもなかったが、不細工でもない。そして巨乳であった。巨乳であることが当時の自分にとってはアンパンマン以上に正義であった。
そしてとうとう会う約束をした。相手の町の近くの駅で待ち合わせ、映画を一緒に見た。映画を見ながら手をつなぎ、お互いの腕や足を触りあった。「いける!」と思った私は、方に回した手をゆっくりとおろしてMの胸を服の上から触った。Mは最初びくっと動く。私はとっさに手を放してしまった。拒否されたらどうしようという気持ちが勝ってしまった。その後もう一度恐る恐る肩に触れると、拒否するしぐさはない・・・。もう一度「いける!」と思った私はもう一度胸にそっと触れる。今度は自分の手の甲にMが手を重ねてきた。さっきより少し強く胸を揉むとこれまで経験したことのない弾力を感じた。そうこうしている間に映画は終わっていた。今となっては何の映画を見たのかすら全く覚えていない。
映画館を出るとMのほうから「ゆっくりしたいね」という言葉が。当然私は「うん、ホテルとか行ってみたいな。」と返す。こうしてホテルへチェックイン。ソファーに座るとすぐに映画館の続きが始まった。今度は直接胸を触り、指先に乳首の硬さを感じることもできた。私が触れるたびに声を出してビクビクと反応するMを見て、私の股間はもう我慢できないと破裂しそうだった。Mはそんな私の股間をズボンとパンツから解放し、優しく撫でだした。もうそれだけでイッてしまいそうだったがぐっとこらえた。そんな中でMがシャワー浴びてくるねと言って立ち上がった。
シャワーを浴びている間にだんだんと冷静になる自分がいた。「今日童貞が終わる・・・。自分の人生が大きく変わるのだ・・・。」そんな気持ちがどんどんエロさを奪っていく。シャワーを終えるとMはもうベッドにいた。Mのあそこを触ると濡れていた。その指の感触もまた初めて触れた得体のなさに、エロさはさらに冷めていった。それでも何とか股間を奮い立たせて挿入しようとしたが、なんせ初めてなのでうまく入らない。
M 「大丈夫、私がするね」
と上にまたがり
M 「ここが私のマンコだよ。覚えておいてね。」
と妖艶につぶやき、私のペニスを穴の中に誘った。その言葉に私は興奮を覚えるのではなく、女性が積極的であることへの恐怖心を覚えていた。私の上でMが何度か上下運動を繰り返すも私の股間は柔らかくなっていくっぽうであった。すると
M 「バイブ使おうか」
と言った。私は耳を疑った。そのようなことをAV以外で女性が言うとは思っていなかったからだ。私はさらに引いてしまった。
最終的に彼女の口で抜いてもらい、私の初体験は終わった。射精できなかったから初体験とは言えないのかもしれない。だが、人生一度の初体験は少し変わった気持ちで終わったのであった。
(了)
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