今更結婚なんて? 同じ世界の人に出会ってから変わった高齢者の私
世間で高齢者と呼ばれる歳に自分がなると今まで気にしていなかったことが身近に感じるようになりました。今まで結婚と言うことなど全く考えたことが無い私でしたが、気が付くと両親は亡くなり自分一人になっていました。寂しいと考えたことなど一度もなかったのに急に気弱になっている自分に気が付きました。
今まで女性と接する機会がなかったわけではありません。でも、どうしても男としての自分の身体に違和感があり、女性を好きになれませんでした。ただし、女性として生きたいとか女性になりたいという願望も無く独り身で生きてきました。でも、素敵な男性を街で見かけると心を動かされ、見とれてしまう事があり、恋愛対象が男性だということが自分でも分かりました。
両親に隠れて密かに女装をし、SMSで知り合った男性に会って抱かれるたびに自分の女性の部分が開花していくようになり、もし女になったら幸せな生活が出来るだろうか? と考えるようになりました。でも、多くの男は女装をした私を性処理の道具にしたいだけで、私を女性とは見てくれないことが分かりました。
私は「一緒に暮らしたい」という男の言葉に騙されるたびに自分の性癖に絶望を感じるようになりました。でも、私はそんな行為をいつも繰り返してしまうのです。そして、気が付くと歳を重ね高齢者という年齢になっていました。
そんな私のところへある日、一通のメールが届きました。それは、かつて私が働いていた会社の上司からでした。「元気にしているか? 久しぶりに君に会って話がしたくなった」と言う文面でした。
上司は随分前に奥様を亡くされて一人暮らしをしているという噂を聞きました。そして、その上司は私が結婚しない理由や男が好きだという性癖を知っていることが頭をよぎりました。でも、私は彼が本当はゲイだという事を知りませんでした。
久しぶりに会った私たちは、昔話をしながらお酒を飲んで楽しい時間を過ごすというお付き合いがしばらく続きましたが、ある日、彼はいきなり私の手を握り、「今度、私の家に来ないか?」と言ったのです。それは決して気軽に口にした言葉ではなく、私には衝撃的でした。彼が今まで我慢をしていた自分の気持ちを打ち明け、私にぶつけたように感じたのです。
彼から自宅の住所と地図がメールで送られてくると、そこには「私は君の本当の姿が見たい」と書き添えてありました。それは私が話をしているとつい出てしまう女言葉や何気ない仕草を彼は感じ取っていたのです。でも、そのことを口に出すことが出来ない彼は、この言葉に自分の気持ちを込めたのだと思います。
その言葉は、彼が「私に女の姿で訪ねて来なさい」という意味だということも直ぐに分かりました。彼も私も会っていると自分の気持ちを素直に現せないのです。でも、私は彼が勇気をもって書いたこの言葉に応えようと思い、女装姿で買い物をして彼の家に向かいました。
彼の家のチャイムを鳴らすと最初は驚いたような顔で私を見つめていた彼は、嬉しそうな表情に変わり、私を招き入れました。そして私をソファーに座らせ、「今お茶を入れるね」と言って立ち上がりました。でも私はそれを制して、「私がするわ。あなたは座っていて」台所へ向かいました。私はバッグからエプロンを出してそれを着けると沸かしたお湯を急須に入れて彼の前まで行きました。
でも、お茶を飲む間もなく、私は彼に抱きしめられて唇を奪われてしまいました。「早くこうなりたかった。でも、中々それが言い出せなくて悪かった」と彼はいい、私を寝室に連れて行きました。彼は私の服を脱がせると自分も服を脱ぎ、私を抱きしめました。私は彼の大きくなった股間のものを咥えて微笑むとそのままベッドに倒されました。彼は私の下着を脱がせると唾液をたっぷりあそこに塗り込んで力強く挿入しました。
私は痛くて悲鳴を上げてしまいましたが、彼がゆっくり動き始めると次第に痛みも無くなり、彼の腰の動きが心地よくなりました。そして、彼が私の中で果てると私の胸を揉みながら「昔から感じていたけれど、本当に女の様な身体なんだな。やっと俺のモノになった。嬉しいよ」言ったのです。私は嬉しくて涙が止まりませんでした。
私は買ってきた食材で夕飯を作り、二人でお酒を飲みながら語り合いました。私は後片づけして一緒にお風呂に入ると彼は私に浴衣を差し出しました。「今日は泊まっていくよね。これを着てくれ。妻の着ていた浴衣だ。少し小さいかもしれないけれど、君に着てほしいんだ」と言いました。それは私に妻になって欲しいということが分かりました。
私は一晩で彼のペニスが馴染む身体にされてしまい、朝起きると私は彼の亡くなった奥様の名前で呼ばれました。無骨な彼に私はプロポーズもなしに女にされました。でも、凄く自然に溶け込める彼の性格に私は家族になった暖かさ感じました。その時私の口から出た言葉は「おはようございます、あなた」でした。
高齢者になると一人で暮らすのが心配になってきます。だから私は彼に寄り添って晩年を過ごす決心をしました。日々の暮らしばかりでなく、夜も彼から求められるのでとても幸せです。結婚は出来なくても一生のパートナーとして支え合っていければいいと思っています。私は彼の妻としてずっと女として生きて行こうと心に決めました。
(了)
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