私の心は女、そして彼女の心は男、それに二人は気づきました

・作

 子供のころから自分の性別に違和感がありましたが、中学性になると制服で男女が分けられ、もう自分が男子でいることに耐えられなくなりました。

 

そして、心と身体の性別が一致しない性同一性障害という言葉を知り、高校を出て大学に進学すると、これからは女性として生きていこうと決意しました。

 

東京に出てきて待望の一人住まいを始めると、次第に女性の姿で過ごす時間が増えていきました。ただし、学生証は男性なので学校は女性の姿で通うことが出来ません。それでもそのほかの時間は誰にも気兼ねなく女性の姿でいられる自由な時間になりました。

 

そして、アルバイトも女性として働けるゲイバーを選びました。まだ、男の娘という言葉もなく、女装クラブなどの盛んでない時代でしたが、ママさんが凄くいい方で、雑誌でみつけたアルバイト先に私が電話をすると直ぐに面接をしてくれました。

 

これから女性として生きていきたいという学生の私に丁寧に女性としての振る舞いやお化粧の仕方を教えてくれ、お店で着る服も用意してくれました。最初は全然上手くいきませんでしたが、ママさんが厳しく躾てくれたおかげで次第に仕事にも慣れていきました。

 

私はママさんの詳しい経歴は知りませんでしたが、お店がゲイバーなので元は男性だったことは間違いありません。でも、全然そのようには見えませんでした。きっとママさんもこれまで苦労されたのだと思います。

 

お店の閉店が遅くなって帰れなくなってしまった時はママさんの家に泊めてもらうこともありましたが、それ以外は毎日きちんと家に帰り、学校に通っていました。

 

でもある日、お店が遅くなってしまいママに泊めてもらったのですが、家に帰ると授業に間に合わない時間になってしまいました。そのまま、女性の姿で授業に出ようか止めようか迷ったのですが、教科書がバッグに入っていたので、そのまま学校に行くことにしました。

 

ただ、今まで一度も女性の姿で授業に出たことがありません。でも、誰も私が女装した姿を知らないし、誰とも話をしなければ分からないと思って、教室の隅に座りました。

 

そして、一人だけ知らない顔がいることにみんな気が付かず、授業が終わりました。でも、私が教室を出ようとしたとき、一人の女子が私に声を掛けました。

 

「あなた、誰なの? トシヤ君?」と言われ、私は足を止めました。でも、振り向かずにそのまま立ち去ろうとすると「どうして逃げるの?」と言われ立ち止まりました。

 

それが私と彼女が口をきいた最初でした。私は自分が女装をしてお店で働いていることを打ち明け、「昨日の晩お店で遅くなって、そのまま授業に来てしまったの。恥ずかしかったけれどお休みしたくなくて」と言いました。

 

すると彼女は「私は街で何度かあなたが女性の姿で歩いているのを見た事があるの。直ぐにあなただと分かったわ。凄く生き生きとして自然に見えたの。あの姿があなたの本当の姿なのね」と言ったのです。

 

どうして彼女には直ぐに分ってしまったのか不思議でしたが、彼女は「私は最初にあなたを見た時から、もしかして? と感じたの。あなたに興味を持ったというより、あなたのことが一目で好きになったのかもしれない」と言いました。

 

女性からこのような言葉を掛けられたのは初めてで、私の中の女の心が刺激され、私は直ぐに彼女に好意を持ってしまいました。

 

そして、私たちが恋愛関係になるのに時間はかかりませんでした。ただ、私たちは普通の男女関係ではなく、完全に彼女が男性、私が女性でした。

 

初めて訪ねた彼女の部屋は女性の部屋とは思えない、まるで男の部屋のようでした。洗濯物も食器もそのままなのです。それを見た私は直ぐに片づけ、あっという間に女性の部屋にしました。

 

そして、彼女は性格が男で、自分が気に入らないと私を叩き、私が泣き出すまで止めません。でも、そんな行為に私は魅かれてしまったのです。

 

彼女は私のことをお店で使っている女性名で呼びます。そして、私には自分のことを「あなた」と呼ばせ、下着姿になると彼女は腰にペニバンを着け、ディルドを私に咥えさせてそのまま喉まで突き刺します。

 

苦しがる私の姿を見ながら征服感に酔い、そのまま私を四つん這いにして唾液でヌルヌルになったディルドをアナルに挿入します。私の身体は前立腺や精嚢を突かれるたびに中イキするようになり、全身を震わせながら女の絶頂を迎えるようになりました。

 

そして、彼女は私には舌を使ったご奉仕をさせ、ペニスは決して使わせません。彼女にとって私は自分の女で、男として私をイカせて従わせるのです。

 

でも、そんな彼女の行為を私は嫌ではなく、それが彼女の私への愛の行為だと思っていました。その行為は女同士のレズの行為ではなく、私たちの間では男と女の行為であると思っています。私の中では彼女は女性ではなく男性で、私の彼でした。

 

学校では私は男の姿で彼女は女の姿なので、誰も気が付きませんが、家に帰ると私たちの性別は逆転し、姿は私が女性に彼女は男性に変わります。

 

そして、私がアルバイトから女性の姿で戻ると私は彼女に抱きしめられ、激しいセックスの時間になります。次第に私は彼女の行為に溺れていきました。

 

私たちは将来、自分に偽りのない姿になって、お互いを尊重しながら暮らしていこうと誓い合ったのです。

 

二人で互いの学生証を見ながら、「これって、性別が間違ってるよね」と言って笑います。そして、互いに見つめ合いながら、彼女が「愛してるよ!」というと私も「私もよ。あなた」と言います。直ぐに激しいセックスの時間になり、それが果てしなく続くのです。

 

(了)

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