相手はまさかの…

・作

私はオンラインゲームをプレイするとき、必ず男性アバターでプレイする。

特にMMORPGでは、自分のなりたい姿をアバターに投影している。

 

そんな私は、とあるMMORPGで自分の分身を作成したのだが、キャラ設定は『ちょっとチャラくて、お酒好き。口悪いけど、お笑い担当で楽しいヤツ』だった。

もちろん顔はイケメンで、装着する装備はセクシーさとチャラさを感じさせる服装。

そんなキャラクターだったので、女性プレイヤーにはよく囲まれた。

男性プレイヤーの友達も多く、イケメン仲間で女性プレイヤーを楽しませたりなんてこともあった。

本当の相手は知らない。私のようにアバターは男性だけど中身は女性なんて人もいて、その逆もしかり。

 

そんな中、ある日私にアタックしてきた女性アバターがいた。

美人といえば美人だが、服装がおしゃれとはいい切れない感じの女性だった。

 

その人は、異常なほどに私を気に入り、毎日のように引っ付いてきた。

別に悪い気はしなかったが、唯一困ったのは、私のアバターを見て自慰行為を行うところだった。

 

『見抜き』という行為がある。

可愛らしい女性のアバターを見て、そのアバターとの性交渉を妄想しながら自慰行為を行うことを見抜きという。

大抵これは童貞で想像力の高い男性がするのだが、その人は中身も女性でありながら、私の男性アバターを見て想像力を含まらせて自慰行為を行っていたのだ。

 

しかもそれを私に包み隠さず明かす。

肌の露出が多い服を着るように頼まれ、少し時間をちょうだいと。

もちろんそんな気持ちの悪い人は関係を切ってしまいたかったのだが、彼女はレアなゲームアイテムをそのお礼としてくれるのだ。

それもかなりレアだったり高級だったりするので、私は目を瞑ることにした。

 

それに、自分のアバターで可愛い女の子が自慰行為をしていると考えたら、ちょっといい気分だった。

 

しかし事件は起きた。

彼女が私をもっと知りたいと、顔写真が欲しいと言い出したのだ。

もちろん彼女は私が女性であることを知らない。

ましてネット上の相手に顔を明かすのには抵抗がある。

 

私が断ると、自分だけ送ると一方的に顔写真を送ってきたのだ。

 

衝撃だった。

50代のおばさん。太っていて、化粧もしていないおばさん。

しかも、子持ちで自分の娘と結婚してくれと、娘の成人式の写真まで送ってきたのだ。

 

衝撃すぎて私は、彼女と距離を置くようになった。

しかし彼女は諦めない。

自分の娘と結婚を!としつこく勧めてくるのだ。

 

この人は、自分が自慰行為のおかずにしている人を娘の婿に迎えて、何をするつもりなんだろうか…。

 

興味よりも恐怖が勝った私は、彼女のアバターをブロック。

強制的に会えないようにしたのだった…。

(了)

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