あの日から続く、上司との秘密の夜
あの出張からもう数ヶ月が過ぎた。
あの日、ホテルの一室で交わした言葉も、触れ合った肌の感触も、今でも鮮明に覚えている。
職場では何もなかったかのように接しているけれど、二人の関係は確かに変わってしまった。
佐々木課長との秘密は、私の胸の奥にひっそりと燃え続けている。
初めての夜から間もなく、彼から電話がかかってきた。
「また会いたい」
その一言で、私は理性を振り切り、次の出張のたびに彼の元へ走っていった。
彼は既婚者で、私は独身。
だけどその線引きは、会うたびに薄れていく。
電話の声、メッセージの一文字一文字にドキドキし、仕事の合間も彼のことばかり考えてしまう。
ある晩、彼のマンションに招かれた。
鍵を開けると、彼の家は思ったよりも静かで落ち着いていた。
リビングのソファに座ると、彼はワインを注いでくれた。
「疲れてるだろ?今日はゆっくりしよう」
その言葉に、どれだけ救われたか分からない。
ワインを飲みながら話すうちに、自然と距離が縮まった。
やがて彼が私の手を取り、静かに唇を重ねる。
服の隙間から伝わる彼の体温に、心も身体も溶けていく。
彼の指が私の背中をなぞり、ワンピースのジッパーをゆっくり下ろしていく。
冷たい空気と温かい肌のコントラストに、私の胸は高鳴った。
ベッドに導かれ、彼の手が私の身体を隅々まで愛撫する。
何度も深くキスを交わしながら、彼は私の声を引き出すように触れてくる。
「君のこと、こんなに欲しくなるなんて思わなかった」
彼の吐息が私の耳をくすぐる。
私の身体は熱を帯び、彼の指先の動きに敏感に反応してしまう。
下着を外され、彼の舌が愛しい部分を這い回るたび、恥ずかしさと快感が入り混じり、呼吸が乱れた。
「感じてる?怖くない?」
その優しい声に安心しながらも、甘い疼きを抑えきれなかった。
コンドームをつけた彼が、ゆっくりと奥まで入り込む。
初めてよりもずっとスムーズで、でも一層深く満たされている気がした。
彼の腰がリズムを刻むたびに、身体が弓なりに反応して声が漏れ、甘く熱い時間が続いた。
「もっと声を聞かせて。君の声は最高に興奮する」
そう囁かれて、私は彼の胸に顔をうずめながら、何度も何度も快楽に溺れた。
彼の汗が私の胸に滴り落ちるたび、現実味が強くなって、どこか切なくなった。
こんなに求め合っているのに、朝になれば、私はただの部下に戻る。
愛し合ったあとの静寂に包まれ、彼の腕の中で温もりを感じていると、切なさも込み上げてくる。
この関係がどこへ向かうのか、わからない。
でも今はただ、この秘密の夜を繰り返すことだけが現実だった。
(了)
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