定年を迎えた彼と女になって田舎暮らしを始めた私  

・作

65歳を迎えた彼は定年を迎えました。ただ、社員ではなくなりますが、70歳までは嘱託として働くことは出来ます。でも、彼は仕事を辞める決心をしました。

 

私が彼と出会ったのは、まだ50代の頃で彼は還暦を迎える直前で、これからのことを考え始めた頃でした。二人とも独身で、私は彼がゲイなのを知っていました。彼も私が女装者で恋愛対象が男性なのを知っているようでした。

 

私たちの出会いは私が行きつけのカウンターのバーでした。彼がゲイであることはみんな知っています。そして私は男の姿をしていても喋ると女言葉になってしまうので、私のことをみんなオカマだと思っていました。

 

でも、彼だけは私を優しい目で見てくれるので、次第に好意を寄せるようになっていき、いつも彼の傍に寄り添うようになりました。でも、無骨な彼は決して私のことが好きとは言ってくれません。

 

でも、ある日のこといつものカウンターバーで偶然一緒になり、彼が還暦を迎えることを知った私は、「お祝いしてあげるわ。いつなの? 私、お料理が得意なのよ」と耳元で言いました。

 

彼は私の気持ちに気づいていたのでしょう。何も言わずに私に自分の誕生日と家までの道順を書いたメールを送ってくれました。

 

私は彼の好物を聞くと食材を買い込んで彼の家に向かいました。勿論、その時は男の格好です。お酒は彼が用意してくれたので、私は料理をたくさん作り、食卓に並べました。

 

「食事の前にひと風呂浴びようか?」と彼が言ったので、私も汗をかいたから「そうね、私も入れてもらおうかな」と言いました。

 

彼が先に入り浴衣姿で出てくると、「それじゃ、私も入るね」と言ってお風呂を使わせていただきました。私は彼に求められても良いように念入りに身体を洗い、勝負下着を身に着けました。

 

そして、風呂から出ると急いでお化粧をし、用意しておいた女ものの浴衣にそでを通しました。そして「お待たせしてごめんなさい。さあ、始めましょう」と言うと私の姿に彼の目が釘付けになってしまったのです。

 

そして「綺麗だよ。初めて見たけれど凄く素敵だ」と言いました。私は「さあどうぞ」とお酒を注ぐと彼も私のグラスに注いでくれました。私が「還暦おめでとうございます。今日はたくさん食べてね」と言って乾杯をしました。

 

お酒が入ると彼は大胆になり、「今まで気になっていたのに肝心なことが言えずにいたんだ。君が男が好きなのは分かっていたけれど、僕は君が好きだという一言が言えなかった。でも、今日は君に正直に告白するよ」『好きだよ。大好きだ』と言ったのです。

 

彼は私を抱きしめると激しく唇を奪い、裸にされた私の身体を愛撫してくれました。私は嬉しくて彼にされるまま身体を預けました。私はいつこうなるのか心待ちにしていました。

 

私が彼のペニスを咥えると固く上を向いた先から汁が垂れてくるのが分かりました。でも、彼のモノが私の中に入るのには長い時間がかかりました。痛くてとても直ぐには入らないんです。

 

私が持ってきたローションを使ってやっと入った時には二人とも汗だくになっていました。そして、その晩は何度も何度も彼に抱かれ、彼の精液で私の身体を一杯にされました。でも、最後はもう射精できずに抜けてしまいます。

 

でも、私が睡魔に襲われて眠りに着くと彼に起こされてしまいます。でも、その繰り返しが嬉しくてその度に私は喘ぎながら彼の行為に応えてしまいました。

 

泊っていく覚悟はできていましたが、その日は返してもらえず翌日彼の布団で朝を迎えました。寝乱れた布団に私の丸まったショーツを見つけ慌てて穿くと、いくつも散らかったティッシュを拾い集め屑籠に捨てました。そして、私は彼のために朝食を作り、まだ疲れて寝ていた彼を起こしました。

 

週末になると彼の家に通う私の生活が5年続き、彼は定年を迎えました。私はまだ定年ではありませんが、早期退職をして毎日彼と暮らすつもりです。すると彼が「実は僕には空き家にしている田舎の実家があるんだ」と言ったのです。

 

そして、「これから一緒に田舎暮らしをしないか? 狭いけれど畑もあるし、二人で食べる作物を育てよう」と言いました。

 

しばらく使っていない家は傷んでして、暮らせるようになるまで時間がかかりましたが、タンスには彼のお母さんが着ていた着物がたくさん残っていました。

 

私がそれを着て割烹着姿になると彼はとても喜んでくれました。それが私たちの田舎暮らしの始まりでした。私の姿は女性に変わり、常に彼の妻として生活しています。周りの人たちはおばあさんになった私を奥さんとして接してくれます。

 

そして、夜は前にも増して彼は激しく求めてきます。少し遅いけれど私は彼の勧めでホルモン治療を始めたので、身体は段々女性化してくようです。そして彼は「そろそろ子供が出来ても良い頃だな。元気な俺の子を産んでくれ」というようになりました。

 

嘘でもそんな言葉が嬉しくて私は二人の生活を大事にしています。この先、私も彼も介護が必要になるかもしれません。もし私は彼が動けなくなっても寄り添っていきたいと思っています。正式な妻になることは出来ませんが、出来れば彼と同じ苗字になって暮らせたら幸せです。

 

(了)

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