バツイチ上司と、深夜のオフィスで抑えきれず

・作

「田中、お前ってほんと、危ない女だな…」

そう呟いた佐伯課長の声は、低く湿っていた。

その夜、オフィスには私と彼だけ。会議資料の修正が終わったのは、もう23時をまわっていた。疲れきっていたはずなのに、彼の目と唇に触れた瞬間、私の中に火がついた。

コピー機の前で交わされたキスは、最初こそ躊躇いがあったものの、すぐに彼の手が私の頬から首筋へと滑り降りてきて、その熱に私の膝はわずかに震えた。

「……こんなところで……」

「言うな。止まれない」

そのまま背中を支えられて、私の身体は会議用の長テーブルに押し倒された。彼の唇が喉元を這い、鎖骨、そして胸元へと這い下りていく。ブラウスのボタンが一つ、また一つと外される音が、静まり返ったオフィスにやけに大きく響いた。

ブラジャーの上から指先で撫でられた瞬間、びくりと身体が跳ねた。

「敏感なんだな……ここも、もう濡れてる」

スカートの裾をたくし上げられ、彼の指がストッキングの上から私の脚の付け根をなぞる。すでに下着はしっとりと濡れていて、自分でもわかるほどだった。

彼の指が下着の中に入り込むと、熱い吐息が漏れた。くちゅ、と音を立ててかき回されるたびに、身体の奥がうずいて疼く。

「声、出すなよ。バレたら終わりだ」

「……っ、や…でも……んっ…!」

我慢しようとしても、彼の指がゆっくりと、けれど確実に私の一番感じる場所を探り当てて、そこを何度も何度も擦ってくる。目の奥がチカチカして、腰が自然と動いてしまった。

「もう入れていいか?」

唇を奪われたまま、私は小さく頷いた。

彼のズボンのジッパーが下ろされ、熱を帯びた彼のものが私の脚の間に当たる。ひと呼吸置いたあと、ゆっくりと、でも確実に私の中に入ってきた。

「……あっ、深……っ」

太くて、熱い彼の塊が、私の内側をぐっと押し広げる感覚。全身が痺れるような快感に包まれて、背筋が何度も波打った。奥に当たるたび、甘く痛いほどに感じる。

「すごい…締めつけてくる」

「課長の…が…大きすぎるから……」

彼の手が私の太ももを抱え上げると、体勢が変わり、さらに深くまで届いた。お腹の奥を突き上げられるような感覚に、思わず喉の奥からくぐもった声が漏れてしまう。

パチン、パチンと彼の腰と私の肌がぶつかる音が、誰もいないオフィスにいやらしく響いていた。

「もっと…して……壊して…」

「壊れるまで、抱いてやるよ」

何度も何度も突き上げられ、そのたびに意識が飛びそうになる。達しそうになるのを必死で堪えていると、彼が私の手をぎゅっと握った。

「一緒に、いくぞ」

「……うん、……いって……!」

瞬間、身体が震え、白く弾けた。全身がビクビクと震え、彼の中で私は完全に果てた。

彼も私の中に熱を放ちながら、大きく息を吐いて、私の肩に顔を埋めた。

テーブルの上で乱れた服を整えながら、彼がぼそっと言った。

「……もう、止められそうにない」

私も、ゆっくりと彼に微笑んで答えた。

「最初から、止めるつもりなかったですよ」

今夜を境に、私たちの関係は確実に変わった。禁忌を越えた罪悪感と、その何倍も強い快感と愛しさに、私はもう引き返せなかった。

そして、彼もたぶん同じだった。

(了)

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